ツール使用法や運用など何にでもベストプラクティスを求めることの危険性
職場にツールの使い方や、業務の運用についてベストプラクティスを求める人っていませんか?
もちろん、ベストプラクティスが存在するものの、それを追い求め、その通りやるのは、組織にとってむしろ良くない恐れがありと考えています。
ツールは使い方にバリエーションが存在
今は仕事を行う上で、様々なデジタルツールを活用が求められています。
ツールには大まかな使い方というものが存在するものの、利用方法には幅がもたせられています。
ただ、使い方が統一されていないと不便になるケースがあります。
同じツールの利用方法のプロトコルが統一していないと、齟齬が生じるケースもあります。
部署によって連絡手段となるツールが異なると、異動のたびに習熟が必要です。
さらに、想定している使い方と異なる方法をしていると、後々の情報整理が面倒なケースも起こりえます。
ベストプラクティスを用いるメリット
そんなツールの使用方法が乱立してしまうのを防ぐため、ベストプラクティスというのは有効な手段です。
ベストプラクティスは、そのツールを色々な人・組織が使う中で、効率性とある程度汎用性を担保した使い方となっています。
ツールが誕生すると、最初は色々な使われ方がする中、ツール利用者同士の交流によって、少しずつベストプラクティスを目指した使い方に収れんします。
そのため、ベストプラクティスの使い方はデメリットよりもメリットの方が多いです。
さらに、ベストプラクティスであれば、同じツールを使ったことがある転職者でも近い利用方法をしている可能性が高まります。
それによって、転職者はツールの独自ルール等を学ぶことなく、すでに習得済みの使い方ができるメリットもあります。
ただ何にでもベストプラクティスを用いればよいのか?
そうした点から、あらゆる事柄においてベストプラクティスを取り入れようとする人はいます。
特に技術者・エンジニアはプログラミング言語など自由度が高いものを扱っていることで、ベストプラクティスでコードの書き方を制約するなどを行います。
私も職場でベストプラクティスを取り入れようとする人がいます。
ベストプラクティスは効率性が高いため、たしかに有効です。
ただ、どんなものにでもベストプラクティスが当てはまるのでしょうか?
組織の状態・フェーズでベストプラクティスが危険な場合も
ベストプラクティスは、組織の状態やフェーズをきちんと理解した上で取り入れなければ危険だと考えます。
基本的にベストプラクティスに沿ってツールを使える組織は、組織メンバーの貢献が高い、もしくはトップダウンの指揮系統が強いです。
ベストプラクティスに従えるメンバーの柔軟性、トップからの強い指示のどちらかがないと現場に当てはめるのが困難です。
前述した通り、ベストプラクティスはある程度の汎用性を持っているものの、絶対という使い方ではありません。
例えば、日本にはFAXを使った運用を行っている会社も存在します。
もちろん自社の都合でFAXを廃止できればよいですが、取引先の都合や業界の慣習によって止められないことも多いです。
そうした組織では、FAXをメールに置き換えるというやり方はできません。
このように会社や組織では、その業務内容によって特性があります。
そうした特性を無視して、ベストプラクティスをそのまま適用してもむしろ浸透せずに破綻します。
大切なのはベストプラクティスをどう取り入れるか
そこで大切になってくるのは、ベストプラクティスをどう取り入れるかという観点です。
そのまますべてを取り入れることは難しい。
では、会社・組織に合わせて、どの部分を取り入れ、どの部分は少し変更するか?
この点をしっかりと考えることが重要です。
さらに、組織にいるメンバーの感情に気を配ることも求められます。
はっきり言えば、それまでの使い方からベストプラクティスに変更するのは、やり方を変えることになるので、メンバーへの負担が発生します。
だからこそ、うまくベストプラクティスのメリットを伝えつつ、負担がないようにモディファイすることがベストプラクティス導入の秘訣です。
終わりに
今回ベストプラクティスをすべてに適用するのは危険という話をしました。
ベストプラクティスは効率性が高く、色々な組織で当てはまる汎用性があるものの、すべて当てはまるわけではありません。
それを無理やりベストプラクティスを導入しようとしても、現場メンバーに受け入れられない可能性があります。
きちんと組織の性質を把握した上で、ベストプラクティスを取り入れられるようにチューニングすることが大切です。
ベストプラクティスを無理やり適用しようとしてしまう人がいたので、そうした人を見て感じたので、今回書きました。