SF名作映画「バタフライエフェクト」の面白い3つのポイント~監督の奇才
前回の記事で、日曜ドラマ・トドメの接吻(トドメのキス)が洋画バタフライエフェクトに似ていることを紹介しました。
映画が公開された時期から言っても、ドラマ脚本家は、バタフライエフェクトを意識していると思います。そんなタイムリープ映画の名作「バタフライエフェクト」の面白い3つのポイントを紹介したいと思います。
1.タイムリープによってもたらされる未来の変化
この映画の最大の醍醐味は、タイムリープで過去の行動を変えることによって未来がどんどん変わってくことです。バタフライエフェクトは、「バタフライ効果」というカオス理論の1つの現象をテーマとして扱っています。過去に選択してきた行動を、未来から戻ってきて変えることで、どんどん将来の進路や人間関係が変化していきます。
- どの過去に戻れば、よいのか?
- 過去のどの行動を変えればよいのか?
といったのが観ている人も考えながら、主人公はタイムリープで未来を変えつつも、思惑とは裏腹に、もたらされる未来は徐々に悪い方向に進んでしまっています。過去のたったひとつの出来事を変えただけで、未来が大きく変わるので、どんな風に変わるのか非常にワクワク鑑賞することができました。
2.あとから明かされる序盤の秘密
さらに、冒頭起きた主人公が出掛ける前にいきなり包丁を持っている不思議なシーンがありました。これが後半に見事に伏線を回収してくれます。もちろんタイムリープなのですが、冒頭のシーンでは情報が不足しているため、分からなかったことがあとで分かって、伏線の回収仕方がうまいと感じました。
3.DVD特典の監督解説の別エンディング
さらに、バタフライエフェクトDVDには、通常のエンディングとは異なる2つのエンディングが特典として、用意されています。その2つは、簡単にいうと、ハッピーエンドとバットエンドです。
通常のエンディングは、主人公とヒロインは、タイムリープの結果、結ばれませんでした。しかし、ハッピーエンドでは、主人公とヒロインが再会するハッピーな終わりかたです。ただし、ハッピーエンドは、ストーリーの展開上、不自然なものです。数々のタイムリープを繰り返してきた主人公が何も学んでいないことになる内容でした。映画の観客からすれば、一番期待するエンディングでしたが、ストーリーの整合性を保つため、不採用になりました。
また、バッドエンドは、主人公がヒロインを追っかけるというストーキングエンドです。こちらも、過去から何も学んでいなく、さらに、主人公がヒロインに気づくのは、ストーリー上あり得ないため、不採用でした。
番外:炸裂する映画監督の天才・奇才ぶり
なお、先程紹介した2つの特典エンディングには、エリック・ブレスとJ・マッキー・グラバーの2人監督たちによる解説音声版も用意されています。そこで、上記のような、エンディングの不自然なポイントを解説してくれます。実は、ハッピーエンド版も一部のアメリカの映画館では、放映されたなどの秘話も明かされます。
しかし、個人的に強烈なインパクトを感じたのは、監督「エリック・ブレス」の、常人には意図が理解できないコメントです。ストーキングエンドでは、終わり際に、
「このエンディングはバンクーバーで撮影したんだけど、ニューヨークのようなビジネス街の雑踏感を出したかった」
ようなコメントを発します。それは分かりますが、なぜ今?ときょとんとなりました。
さらに、ハッピーエンドでは、このエンディングが今までの展開からはストーリーが破綻するものだと、指摘したあとに、
「このときはカモメも大声で鳴いていたよ」
とまったく意図が分からない一言を呟きます。バタフライエフェクト最大のなぞは、まさに、監督が発したカモメが大声で鳴いていた理由だと個人的に思っています。