ヤマタケのWebサイト運営論~戦略・仮説検証・情報収集・Webで言えないこと

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オーム社の電子書籍直販サイト終了の裏に人材流出。マスタリングTCP/IPの本の続編はどうなる?

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 TwitterなどのSNSで、技術系書籍に強い出版社オーム社の電子書籍直販サイトが終了する情報がトレンド入りを果たしています。オーム社といえば、トランジスタ技術や、ロボコンマガジン等学生時代には、愛読していました。さらに、社会人になってからも、マスタリングTCP/IPは、いまだにネットワークを振り返る貴重な解説本で重宝しています。

本件について、勝手ながら、少し意見してみたいと思います。

 

なぜ、オーム社のサイト終了がトレンド入り?

トレンド入りの発端となった情報源が、小川晃通(あきみち)さん(@geekpage)のブログ記事です。

オーム社電子書籍直販サービス終了に関して:Geekなぺーじ

この方は、マスタリングTCP/IPシリーズも執筆されたこともある著者です。ブロガーとしてもアルファブロガーとして活動しています。

冒頭で書かれたオーム社の電子書籍直販サイトが終了すること自体は特段インパクトの大きい情報ではありません。規模でいえば、大手出版社ではないオーム社が、電子書籍の直販サイトをやめるのは、AmazonのKindleの発展もあり、当然の流れと感じます。

しかし、注目されたのは、今回のサービス終了が、収支的な要因ではなく、人に依存する要因による終了だったからです

ohmshaebookstore.hatenablog.com

 

サイト運営者の流出が終了原因

前述のブログによると、サービス終了のお知らせの前日に発表があった、運営スタッフ退任のお知らせがあったことを紹介し、

「電子書籍直販サイトを運営できる人材が流出してしまった」

ことこそが、サービス終了の要因であると解説してくれています。

ohmshaebookstore.hatenablog.com

 

オーム社の書籍のクオリティは人依存

オーム社には、ネットワークを始める際には、必読書と言われる「マスタリングTCP/IP 入門編」や、電子工作をたしなむ人がよく読む「トランジスタ技術」など、技術者の間で評価の高い本が多数出版されています。

その中で、前者のマスタリングTCP/IPのような情報技術者にとって、必読書となるシリーズを手がけてきたのは、退任のお知らせがあったスタッフを含んだチームが編集したものでした。

それが、1人、また1人とオーム社を去ってしまい、最終的にはチーム全員が去ったため、運営サービス継続もできなくなったみたいです。

 

余人をもって代えがたい仕事とは?

私の持論では、「余人をもって代えがたい仕事はない」という意見です。どんな仕事で、この人がいないと回らないと思っていても、いざいなくなってしまうと、なんだかんだで組織の力で何とかやりくりことはできます。

しかし、この意見には条件があり、「ただし、質は必ず落ちる」というものです。今までは80点ベースで回っていたものが、1人の欠如によってクオリティが50点まで下がる。それでも、なんとか回るようになっているのが、組織力と考えています。

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オーム社のケースでは、抜けた人材の質が高すぎた

オーム社の件で考えると、この質が高すぎたのが要因だったと思います。オーム社の書籍と言えば名前が挙がる代表作品を作ってきたチームのクオリティーは、点数は90点を超えるものだと推測します。

ただ、そういった質の高い人材が抜けた時、なんとか70点台の及第点に留められるようにしておくことが組織に求められる組織力だと思います。しかし、オーム社の場合、その人材を抜けた際に、後任の用意ができず、運営もままならない質でしか提供できないため、今回のサービス終了に至ったと推察します。

 

人材流出しても、継続できる組織力とは?

話が壮大になってきましたが、今回のオーム社の電子書籍直販サービスは、運営を続けられるないから、サービス終了するという単なる問題ではなく、組織力の問題と捉えることが大切と考えます。

人材の流出が止められなかったのが直接の原因ですが、エース級の人材が抜けても、質の低下は否めないものの、なんとかして合格点ギリギリでも構わないから組織を回せるような組織体制を準備しておくことが大切です。それには、当たり前ですが、現場レベルでの対応が必要です。

  1. 属人化した作業(○○さんしかできない)を無くす
  2. だれでも一定レベルでこなせるマニュアルの整備する

この2点が組織の現場レベルで求められると考えます。

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さらに経営レベルで考えれば、そういった際に、柔軟な人材リソースを振り分けできる仕組みが大切です

 

※エース級が揃った4人チームごっそりは厳しい

ただし、実際のところ考えると、エース級人材4人が抜けるのは厳しいと思います。今回の場合、抜ける期間は、少し空いていますが、2年間で4人欠けるのは補うのは難しいです。そういった意味で今回のサービス終了は致し方ないのかなと思います。

 

終わりに

今回の電子書籍直販サイトが終了するのは、オーム社にとってすぐ影響はしないと思います。しかし長期的な影響は避けられないと思います。正直書籍の質は、マンガ編集もそうですが、著者と編集者の関係性による要因が強いです。エース人材を失ったことによる、情報系の名著シリーズの今後がどうなるのか、とても気になります。